芍薬と牡丹

日本では昔から芍薬や牡丹になじみが深く、様々な形を描かれてきました。

牡丹が日本に入って来たのは、奈良時代。
薬用として入って来たのが始まりで、以来寺院などを中心に庭園木として好まれたようです。

しかし、その牡丹の地位を薬用から、鑑賞用植物の地位にまで引き上げたのは、江戸の園芸ブーム。
特に寛永年間(16244〜44)の寒牡丹(ふゆぼたん)の出現!
二季咲きの性質を持つボタンで、初夏6月、そして冬期にも花を咲かせます。
つぼみや葉の摘み取り時期など、大変難しい栽培だそうです。

冬にボタンを咲かせる方法は清国から伝わったと言われていますが、中国の冬は半端なく寒い!さすがに外では無理なので室内で栽培されていました。
しかし、戸外で、それも雪の中でボタンを鑑賞しようとする風流なスタイルは、日本独自の文化と言っていいでしょう。
芍薬花譜/江戸時代

ちなみに、芍薬と牡丹は同じボタン科ですが、違うものです。

まず芍薬は、すっと枝分かれなどなく立っています。
牡丹は枝分かれするので横張りの樹形になります。
ここから『立てば芍薬、座れば牡丹』といわれるようになったのでしょう。

また、芍薬は茎(草)で、牡丹は幹(木)です。
葉っぱも、芍薬がすっとした細長い形に対し、牡丹はやや丸みをおびています。

私的には切花にしても、へこたれない芍薬の強さと、そのしなやかな葉が好きです。
 芍薬

牡丹

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